喪服は着る機会が少ないとはいえ、いざという時に備えてきちんとした状態で保管しておきたいものです。
「汚れてないし、クリーニングに出さなくてもいいかな?」と思いがちですが、実は見えない汚れやダメージがある場合も。
この記事では、喪服をクリーニングに出さないことで起こるリスクや、出すべきタイミング、そして保管時の注意点まで詳しく解説します。
喪服をクリーニングに出さないとどうなる?
喪服は一見きれいに見えても、着用後にはさまざまなダメージが蓄積されています。
ここでは、クリーニングに出さずに放置するとどのような問題が起こるのかを解説します。
汚れや汗が見えなくても繊維にダメージが残る
喪服は黒色で汚れが目立ちにくいため、着用後に「汚れていない」と思いがちです。
しかし、汗や皮脂、空気中のほこりなどは確実に付着しています。
これらは時間が経つほど繊維を劣化させ、生地の風合いを損なう原因になります。
とくに汗に含まれる塩分や皮脂は、生地の変色や硬化を引き起こすこともあるため注意が必要です。
一見すると見た目に変化がなくても、繊維の中では徐々にダメージが蓄積され、気づかないうちに品質が落ちていることも。
何年も着られるはずの喪服が数回の着用で傷んでしまうのは非常にもったいないですよね。
黄ばみ・カビ・虫食いのリスクが高まる
喪服をクリーニングに出さずに収納してしまうと、湿気や皮脂汚れによって黄ばみやカビが発生するリスクが高まります。
また、繊維に残った食べこぼしや汚れは虫食いの原因にもなります。
見た目ではわからなくても、タンスから出したときにシミや変色に気づくことも。
そうなると、せっかくの喪服が台無しになってしまいます。
とくに日本は湿気の多い気候のため、適切な保管とメンテナンスが欠かせません。
防虫剤を入れていても、汚れが残っていると効果が薄れてしまうこともあるので注意しましょう。
急な不幸時に着られない可能性がある
喪服は急な通夜や葬儀で必要になることが多い服です。
そんな時に出してみたら「カビ臭い」「シミができていた」では困りますよね。
日頃からクリーニングに出してメンテナンスしておくことで、急な場面でも安心して着られる状態を保てます。
また、喪服は他の衣類と違って代用が効きにくいため、いざというときのためにも常にスタンバイしておく意識が大切です。
自分だけでなく、家族の喪服についても定期的に確認しておくと安心ですね。
喪服をクリーニングに出さない人の理由とは?
喪服をクリーニングに出すべきとわかっていても、つい出し忘れたり、面倒だったりすることも。
ここでは、クリーニングに出さない理由としてよくあるパターンを紹介します。
数回しか着ておらず汚れていないと思っている
喪服は年に一度着るかどうかという人も多く、「汚れていないから大丈夫」と思ってしまいがちです。
ですが、短時間の着用でも汗や空気中の汚れはしっかり付着しています。
特に夏場や湿気の多い時期は、見えないダメージが蓄積されやすいので注意しましょう。
さらに、喪服は礼儀として黒の深みや清潔感が重視される服です。
ちょっとしたテカリやヨレも、周囲からは「だらしない」と受け取られてしまう可能性があります。
クリーニング代を節約したい
喪服のクリーニング料金は、一般的な洋服に比べるとやや高めに設定されています。
以下のような相場になっているため、費用面でためらう人も多いようです。
アイテム | クリーニング相場(円) |
---|---|
メンズ喪服上下 | 1,500〜2,500円 |
レディース喪服 | 1,800〜3,000円 |
ワンピース型喪服 | 1,500〜2,800円 |
ただし、きちんとメンテナンスしておけば長持ちするので、結果的にコスパが良いとも言えます。
長い目で見れば、安易に買い替えるよりもずっと経済的です。
また、地域によってはセール期間や割引キャンペーンを活用することで、さらにお得に利用できることもあります。
自宅での手入れで十分と考えている
中には、ブラッシングや陰干しなど、日常的なケアで済ませている人もいます。
もちろん自宅での手入れは重要ですが、完全に汚れを落とすにはプロの技術が必要です。
とくにウール素材などは素人では落としきれない汚れが残ることもあるため、年に1回程度はクリーニングに出すのが安心です。
また、最近では「自宅で洗える喪服」も販売されていますが、それでも洗濯表示に従って丁寧に扱わなければ逆に傷んでしまう可能性も。
迷ったら一度プロに任せるのが無難です。
喪服は人生の節目に着る大切な服。 見えない汚れや経年劣化を放置せず、定期的なケアを心がけておくことで、いつでも安心して着用できる状態を保ちましょう。
喪服をクリーニングに出すべきタイミング
喪服は着用後の取り扱いが重要です。
以下のようなタイミングでクリーニングに出すのが適切とされています。
着用後すぐが理想的なタイミング
喪服を着用したあとは、できるだけ早くクリーニングに出すのが理想的です。
なぜなら、見た目にはわからない皮脂や汗、空気中のホコリなどが付着していることが多く、時間が経つとシミや変色、カビの原因になるからです。
特に夏場や湿度の高い季節に着用した場合は、数日放置するだけで生地が劣化する恐れもあります。
また、香典返しなどを持ち運んだ際に手が触れた部分や、香りの強いお線香の煙など、見えない汚れが付着していることもあるため、目立たなくても油断は禁物です。
着用中に汗をかいた・雨に濡れた場合は要注意
喪服を着ている間に汗をかいたり雨に濡れた場合は、通常以上に早めのクリーニングが推奨されます。
水分や湿気は、生地のヨレやカビ、においの原因になりやすいため、早期対応が重要です。
特にウール素材の喪服は湿気に弱いため、自然乾燥では取りきれない汚れが蓄積してしまうことがあります。
また、ファンデーションや香水、制汗剤などが襟や袖に付着している場合もあり、それらは時間が経つと落としにくくなるため、プロのクリーニングが効果的です。
年1回の保管前メンテナンスとしても有効
喪服をしばらく着ていない場合でも、年に1回はクリーニングに出すのがおすすめです。
長期保管中にもホコリや湿気は少しずつ蓄積し、知らぬ間にシミや虫食いが発生することがあります。
衣替えのタイミングなどに一度チェックし、必要に応じてクリーニングしてから収納しましょう。
さらに、季節の変わり目や結婚式・法事などの行事の前に一度確認しておくと、いざという時にも慌てずに済みます。
喪服を長持ちさせるための正しい保管方法
クリーニング後の保管方法も、喪服の寿命を左右する大切なポイントです。以下のような方法で保管しましょう。
クリーニング後はビニールを外して通気性の良いカバーに
クリーニング店から戻ってきた喪服には、ビニールカバーがかかっていることが多いです。
しかし、このビニールカバーをつけたままの保管はNGです。
湿気がこもりやすくなり、カビや臭いの原因になるため、必ず通気性の良い不織布カバーなどに入れ替えましょう。
特に押し入れや密閉空間で保管する場合、ビニール素材は湿度を逃がさないため、衣類の寿命を縮めてしまいます。
100円ショップなどでも手に入る不織布のカバーで十分効果があります。
湿気と直射日光を避けた場所に保管する
喪服は湿気や日光に弱い素材が使われていることが多く、保管環境にも注意が必要です。
クローゼットの中でも風通しの良い場所を選び、直射日光が当たる場所や窓際は避けましょう。
とくに梅雨時や湿気の多い季節は、除湿剤を併用すると安心です。
押し入れのような密閉空間の場合は、すのこを敷いたり、定期的に扉を開けて換気する工夫も有効です。
防虫剤の入れすぎには注意する
虫食い対策として防虫剤は有効ですが、入れすぎると逆に生地を傷めてしまうこともあります。
また、香りが強すぎると次回の着用時に不快に感じる場合もあるため、量や種類にも気をつけましょう。
1種類の防虫剤を、パッケージの指示に従って適量入れるのがポイントです。
違う種類の防虫剤を併用すると化学反応を起こす場合があるため、必ず同一メーカーで統一するようにしましょう。
保管時の注意点 | 理由・効果 |
---|---|
ビニールカバーは外す | 湿気がこもらないようにするため |
通気性の良いカバーに入れる | カビやにおい防止に効果的 |
直射日光を避ける | 生地の色あせを防ぐ |
除湿剤・防虫剤を適量使う | 湿気・虫食い対策になる |
保管場所を時々換気する | カビ防止・空気の入れ替えに効果的 |
まとめ
喪服は大切な場面で着るものだからこそ、普段からのメンテナンスが欠かせません。
着用後はできるだけ早くクリーニングに出し、年1回のメンテナンスも忘れずに行いましょう。
また、保管の際はビニールを外し、通気性の良いカバーを使用し、湿気や虫から守る工夫をしましょう。
定期的に喪服の状態を見直すことで、必要なときに慌てず対応できますし、無駄な買い替えも防げます。
こうした日々のひと手間が、喪服をきれいな状態で長持ちさせるポイントです。
いざという時のために、今から準備しておくことが大切です。